夏のセールがもうすぐ始まるのでそれに向けての準備。
こういう単純作業がそれほど苦にならない性格とイギリス人スタッフと比べると仕事の速さが違う、ということでいつもセール準備要員に抜擢される。聞こえはいいが要は雑用係だ。
作業をする場所はストックルーム。ショップフロアと違ってエアコンは無い。窓もヘルス&セーフティの理由から(何か物が窓から落ちて人に怪我をさせる危険があるということ)開けてはいけないことになっている。が、ここ数日の気温の高さでストックルームの気温&湿気は桁違い。通行人のヘルス&セーフティより従業員のヘルス&セーフティはどうなるんじゃいっ、ということで無理やり開ける。
服装はなるだけ軽装、ランニングに髪はきっちり束ねて団子にしミネラルウォーター持参。エプロンのポケットには赤・黒フェルトペン太さ違いで2本ずつ、はさみ、特製作業台(その辺にあるものを代用)にはセロテープ、札をつけるための業務用キンブルガン、セール札、セールリスト、メモ用紙、ごみ袋、と私は完璧。
今年はセールの規模が大きいということでいつもは私を含め2,3人でする準備を今年は5人が担当。これなら結構早く終わるかと思うが甘かった。
イギリス人はしゃべると手が止まる。そして作業の効率化を図るための上記のような下準備というものをしない。そのため何かの最中にしゃべりだし手が止まり、立ち上がり、また作業に取り掛かろうとするとさっきまで手に持ってたはずのペンが消えていたりする。「あれ、どこに置いたっけ?あれー?」としばらく探してあきらめ、私のところに来て「ちょっとだけかしてね」。そして返ってこない。様子を見て取り返しに行く。気を取り直して再び作業開始。今度は別のスタッフが来て「ちょっとテープかしてね」。そしてまた別のスタッフが遠くで「セールのリストが無くなった、どこ置いたっけ?」
・・・・・・・。
ここまでは良くあること。いままで何度も経験してきた。ぐぐっとこらえる。作業も大分進みひと段落、隣で私と同じ作業をしていた同僚に、「じゃ、ここは手狭になったから済んだものから隣に移そうか」。全部の箱を隣に移そうとする同僚。「・・・・・・。あれ?それセールとそうじゃないのに分けた?」「分けてない」
キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっ

休憩時間。
窓辺でぐったりしつつ外を眺める。
たくさんの通行人の中にひときわ目立つTシャツ姿の男性発見。
胸に大きく書いてある文字は・・・「狩人」
それを見たとたん頭の中で『あずさ2号』がかかった。そっちの「狩人」じゃなかったかもしれない。でももうかかったものは止められない。午後からはサウナ状態の中、ペンを盗みにくるスタッフを牽制しつつ「あずさ2号」を脳みそBGMに作業をすることになる。