
電車はイギリスとは違ってきれいでスムーズ。普通の車両とコンパートメントの車両に分かれており、人も多くなかったので定員8人のコンパートメントを一つ占領。
天気もよく、途中ベルサイユ宮殿を窓越しに見た。一応
「オスカル〜〜〜」
と叫んでおく。
オットの思い出の地Chartresの聖堂は駅から歩いて数分。ここのステンドグラスが有名なんだそうだ。もちろんステンドグラスもすばらしかったけれど、聖堂自体も壮大でヨーロッパのスケールの大きさを感じる。それぞれの壁面の彫刻にも色々と物語があるらしい。キリスト教や聖書にまつわる話だけではなく民話なんかも元になっているそうで、そのあたりは日本の神道、仏教と土着の民話の混ざり具合と似ているのかな、とも思う。
帰りは聖堂となりのサロン・ド・テでお昼。ブロッコリーのスープをいただく。うまい。
ホテルに戻り休憩。
夕飯はあちこちにある日本料理店の中からあえて「焼肉」に絞ってみる。友人のパリ在住の知り合いからのオススメもありシャンゼリゼ通りそばのお店へ。1階がお寿司屋さん兼日本料理屋さんで2階が焼き肉屋さん、という「すべてのニーズにお答えしますっ」というお店のつくり。キムチやナムルといった突き出しとお肉のセットをいただく。
久々の焼き肉。ああ幸せ。
そして日本人のウェイトレスのおばちゃんが声優、野沢雅子(ドラゴンボールの悟空の声など)のような声の人でしかも超タメ口というフレンドリーな方だった。
「どっから来たの?フランスじゃないでしょ!?あ〜やっぱりそうだと思った」
「今日はヒマっ。お客さんの貸切ね。カラオケできんじゃな〜い。あはははは」
「うん、フランスはね、6年くらいかな」
という感じで、「きっともう何十年もパリに住んでいるに違いない」と言いあっていたワタシと友人は、一体どういう事情でパリに来て、ココで働くようになったのか、非常に気になった。外国、特に大きな都市にはこういうちょっぴり正体不明な邦人が結構いる。ロンドン然り。人生いろいろだよな、と思いつつ満腹で店を後にする。
帰りがけ、「フランスに来たのにまだケーキ一個も食べてないよ・・・」とグチっていたら、ケーキ屋さん発見!おおDalloyauじゃないか。
とりあえずワタシを一刻も早く黙らせようと思ったらしいボブ男、ケーキの片付けに入っていたお店にずかずかと入る。どれもおいしそうだ、どど、どうしようかな、と迷っているワタシにオットは「うるぁ、はよ決めんかいぃ」と脇から軽く膝蹴りをくらわす勢いだったので渋々一つに絞る。
ホテルに戻って食べようかな、ケーキだケーキだ、わーい、と思っていたのだが、メトロへ向かう途中、マドレーヌ寺院のそばでベンチを見つけたオット、
「ほら、ベンチがある。マドレーヌ寺院を見ながらケーキだっ」
えええええぇぇぇ・・・。
明らかに外で手づかみで食べるようにはできていない繊細なケーキのセロファンを必死にはがし(セロテープでひっついていて大変だった。ケーキはすでにぐちゃぐちゃ)口に放り込む。Dalloyauもびっくりだ。味わうことより下に落とさないように食べることに必死。
「ケーキは食べられたけど、なんか違う・・・」
とベトベトになった両手を見ながら遠い目になった夜。
オットにケーキの醍醐味(?)をわかってもらおうとしたワタシが間違いでした。