
このダイソン君を大枚はたいて買ったのが2年半前。その間カスタマーサポートに電話をすること3回。そしてこれが4回目。モーターが原因はこれで2回目。壊れすぎ。
「8サイクロン方式で吸引力も8倍!!!」
確かにそうなんでしょう。ものすごい吸引力でイギリス全土で人気者だ。カーペットまで吸い込みそうな勢いで吸い付くからものすごく重いんだけれど。でもそのせいでモーターに負担がかかりすぎなんではないだろうか。
とにかく掃除機が使えないことには掃除もままならないのですぐに電話をする。
このダイソン社はイギリスの会社なのだけれど、カスタマーケアに結構きちんと力を入れていて、対応も迅速だ。オペレーターにつながるまでの保留の間も(なぜか微妙に悲しげな)音楽と音楽の間に、
「大変お待たせして申し訳ありません。私たちは常にベストのサービスを心がけておりますが、現在電話が込み合っております。今しばらくお待ちいただくか、ダイソン社ウェブサイトでも対応をしております、アドレスは・・・・・・・」
というアナウンスが10秒おきくらいに入る。「もう頑張ってるのはわかったってばっ」、というくらい。
そしてオペレーター登場。我が家のダイソン君の病状を伝えると、
「エンジニアをそちらに寄こします。では・・・」
来週とかって言われるんだろうなぁ・・・。
「明日か、月曜はどうでしょう?」
おおおおっっ、イギリスの会社にはあるまじき迅速さ!もちろん次の日(今日)にお願いする。何時くらいになるのかを聞くと、
「え〜、朝8時半から夕方5時半の間です」
おおおおっ、そこはイギリス、丸々一日を予定に入れてきた!
でも来週と言われるよりはましだ。来る前に連絡をしてくれるようお願いして電話を切る。
そして今朝。
ドドドドドドンっっ、という誰かがドアをノックするものすごい音で叩き起こされる。条件反射でベッドから跳ね起きて下まで降り、ドアを開けると、
「モーニンっっ!ダイソンです!!」
と身なりもきちっと整えた金髪青年が朝日を背中から浴びてきらきらと立っていた。まぶしすぎる。
こっちは寝起きのパジャマ姿にとかしてもいないモサモサ頭、目やにのついた目も半分くらいしか開いてないし、ワタシが一昔前の日本人女性ならこの場で舌を噛み切って自害していたと思う。
とりあえず急いで我が家のダイソン君をひっぱってきて、
「昨日突然死んじゃったんです。たぶんモーターです」
とわけのわからない説明をして、2階に駆け上がり、ダッシュで着替える。一体何時なの!?と時計を見ると8時35分。
ああ・・・時間通りだよ・・・・・・。
そそくさと下にまた下りて、
「昨日8時半から5時半の間って言われたからこんなに早く来るとは思わなかったの・・・」
と無意味な言い訳をすると、
「いやー、みなさん自分は最後だって思いますよね。だから前もって電話するようにって聞いてたんですけど、この時間なら寝てる人も多いからしなかったんですよ。ははは。」
って・・・。ああ、お気遣いまでありがとう・・・。でも電話してくれていたらあんな姿を見知らぬあなたに晒さずに済んだんですけどもね・・・。
もちろん青年エンジニアは自分の顧客が玄関先で自害しかけたなどと知る由もなく、10分ほどでダイソン君の息を吹き返すと、作業していた場所をぱぱっとかたずけきれいに掃除機もかけて、「それじゃあ、また!!」とさわやかに退場していった。
ダイソン社よ、そのポジティブパワーを製品技術にも使ってくれ。